プロもお手上げの任意整理できないケースと別の借金解決のぬけ道
任意整理は一定の収入があれば、だれでもできる借金解決の手続きです。
しかし、任意整理することによって後悔では済まないトラブルを起こしてしまうケースやそもそもプロの手であっても手続きを進めることができないケースがあります。
借金問題を解決したいなら、まずは任意整理できるかを知るべきです。もし、任意整理できないケースにあたってしまっても借金解決の方法が別にあります。
これから任意整理をしようと考えている人、事務所に任意整理ができないと断れた人は必見です。
任意整理できないケース
「任意整理」は、毎月の返済額を減らして返済期間を延ばすために、本人(または代理人)と貸金業者が直接交渉をする手続きのことです。
裁判所は関係なく、両者が合意しなければならないので、本人の借金返済の状況や貸金業者の方針によっては任意整理ができないケースも発生します。
任意整理をしたくてもできないケースは8つあります。できないケースについて具体的に紹介するので、ご自身が当てはまっているかご確認ください。
3年〜5年で借金を完済できない
任意整理は、貸金業者との交渉することによって、これから払うべきだった利息をカットして、返済回数を36~60回(3年~5年)にすることで、毎月の返済額を減らす手続きです。
原則として、最大でも60回払いなので、72回(6年)以上にすることができません。
最大60回で借金返済することを貸金業者と約束して和解したとしても、途中で返済できなくなってしまうと、再和解(2回目の任意整理)するか、個人再生や自己破産をする必要があります。
任意整理する前の返済計画で、利息をカットして3年~5年の返済期間にしても返済できない状況なのであれば、任意整理は手遅れです。返済できないと判断されて貸金業者に断られるので、任意整理する意味がないので手続きするだけ無駄になります。
返済実績がほとんどない
任意整理をするためには、先に借りたお金を返済することが必要です。貸金業者の立場からすると、利用者に貸したお金が返済されていないにもかかわらず任意整理に応じてしまうと、無償で貸し付けたも同然となります。
一度も返済されない、返済期間が短いなど、返済実績がほとんどない利用者は、貸金業者から通常の返済を求められるため、任意整理することはできません。
専門家に依頼せず自分で任意整理をおこなう
自分で任意整理の手続きを行うこともできますが、うまくいかないことが多いです。
自分で任意整理をすると、弁護士や司法書士に支払う依頼費用を節約できるメリットがありますが、それ以上に、任意整理に必要な書類を準備したり、貸金業者とのやり取りや交渉をしたりする労力がかかるデメリットがあります。
法律の専門家でない個人は貸金業者よりも立場が弱いため、個人で和解交渉を持ちかけても応じてもらえないことがほとんどです。
弁護士や司法書士に依頼を断られる
弁護士や司法書士に任意整理を依頼しても、断られたり途中で辞退されたりすることがあります。依頼者が電話に出ないなど信頼関係が築けない場合や、方針として高い報酬が見込める過払い金請求以外は断っている事務所もあります。
貸金業者が任意整理に応じない
任意整理は裁判所を通さずに貸金業者と話し合いをする手続きです。そのため、貸金業者が任意整理に応じるかどうかは自由なので、応じない場合もあります。そのような場合は、任意整理を断念して、個人再生や自己破産などの別の方法に移行することになります。
保証人や担保がついている借金
保証人や自動車や住宅などが担保になっている借金に対して任意整理をする場合、貸金業者は任意整理に応じず、保証人に返済を促したり、担保されているものを取り上げることができます。
任意整理をすることで、保証人に迷惑をかけたり、財産を失う可能性のある借金は、任意整理の対象から外すことをおすすめしますが、対象を外しても返済が苦しければ個人再生や自己破産をするべきです。
貸金業者が差し押さえの準備を始めている
貸してもらったお金を返済できなくなった時に、貸金業者は法的手段を使って、給料を差し止めたり、財産を取り上げたりすることがあります。貸金業者が差し押さえの準備を始めている時に任意整理をしても、差し押さえを止めることができません。
任意整理できないお金
クレジットカードのリボ払いやカードローンなどの借金は任意整理できますが、税金や公共料金といった支払いは任意整理できません。返済が遅れると法的に処罰を受けることがありますので、返済を急ぐようにしましょう。
任意整理ができないときの対処法
毎月の返済額を減らすために任意整理を行おうとしても、貸金業者が交渉に応じてもらわない限りは手続きを進められません。
弁護士や司法書士にお願いすれば、ほとんどの場合は貸金業者が任意整理の交渉に応じてくれますが、応じてくれない場合もあるため、任意整理ができない場合の対処法を知っておくべきです。
債務整理に強い弁護士・司法書士に依頼
弁護士や司法書士に依頼をすれば任意整理をすることができますが、すべての専門家が債務整理を得意としているとは限りません。そのため、債務整理の経験が豊富で得意分野として取り扱っている事務所に依頼することをおすすめします。債務整理を得意とする事務所であるほど、任意整理に応じてもらえる可能性が高くなります。
任意整理する貸金業者を変更
貸金業者は任意整理に対応するか、断るかの2通りの対応を取ります。そのため、複数の会社から借金をしている場合は、断る業者に限って任意整理の対象から外すことで、任意整理に成功する可能性があります。
借金の返済計画を見直す
借金の返済計画を変えることで、貸金業者が任意整理を受け入れてくれる場合があります。毎月の支払い額や返済期間を変えることで、貸金業者が話し合いに応じることがあります。
個人再生や自己破産の手続きをおこなう
任意整理ができない場合、借金問題を解決する方法として、個人再生や自己破産があります。個人再生や自己破産にはデメリットもありますが、借金を大幅に減額することで根本的な問題を解決することができます。返済で苦しい状況を放置することに比べたら決して悪い選択ではありません。
任意整理して借金を減らすまでの流れ
任意整理を弁護士や司法書士に依頼すると、およそ2か月〜4か月で貸金業者と和解することができます。和解するまでの手続きのほとんどは依頼した弁護士・司法書士に任せられます。
任意整理の手続きをした後は、貸金業者と和解した契約に基づいて3年~5年かけて借金を返済することになります。
相談・依頼
債務整理を取り扱っている弁護士や司法書士に相談します。返済状況を説明して、任意整理で借金を返済できることが確認できたら、正式に依頼をします。
任意整理を依頼したら、弁護士・司法書士が貸金業者に受任通知を送付します。受任通知が貸金業者に届いたら返済の督促が止まりますが、依頼した即日に止まることもあれば、3日で止まることもあります。
弁護士・司法書士が各貸金業者から借りた金額や返済状況を知るために、「取引履歴」の開示を請求します。取引履歴には、いつ、いくら借りたのか、いつ、いくら返済したのかなどの借入状況や返済状況が記録された資料であり、開示請求をしてから1週間から1か月程度で取引履歴を入手することができます。
貸金業者から取引履歴を受け取れたら、過払い金がいくらあったかを計算します。過払いがあった場合は、貸金業者に対して過払い金請求を行います。
残りの借金の返済内容について貸金業者と直接交渉します。交渉した内容について和解ができた場合に和解契約を結びます。交渉から和解までには大体1か月~2か月かかります。
もし貸金業者との交渉で和解に至らなかった場合、裁判になる可能性があります。任意整理における裁判では、裁判上での和解によって解決します。裁判で和解するまでには半年程度の時間がかかることが多いです。
直接交渉で和解あるいは裁判で両者が和解した支払い条件に基づいて返済をしていきます。
任意整理できないケースについてよくある質問
- 任意整理ができないことはある?
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任意整理は、一定の収入があればパートやアルバイトなど職業で手続きの可否が問われることはありません。 ただし、毎月の収入は一定していなければならず、収入が不安定だとできない可能性があります。
他にも任意整理ができないケースがあるので、任意整理が当てはまらないか確認したい方は「任意整理できないケースは8つある」をご確認下さい。
- 任意整理した借金は何回で返済する?
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任意整理をした後の、分割返済の期間は一般的に3年間(36回)が目安ですが、5年間(60回)まで可能な場合があります。
借金を決められた回数で返済できそうにない場には「任意整理ができない場合の対処法」を検討した方がよいです。
- 借金の相談はどこがいい?
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借金の相談は市役所や公的機関、弁護士、司法書士事務所にすべきです。人によって収入や取り立ての緊急性がちがうため、自分に合った相談先を選ぶことが大切です。詳しくは「借金相談どこがいい?相談先」をご確認ください。