ほくせんの取引履歴開示請求を自分でする手順と損をしない約束事
ほくせんの過払い金請求を行うには、取引履歴を取り寄せなければなりません。取引履歴には、借り入れしたときの金利、金額、日付、返済した金額と返済した日付が記載されています。過払い金があるかどうか計算した結果、過払い金があることが判明したらほくせんの過払い金請求が可能になります。
取引履歴開示請求は司法書士や弁護士に依頼しなくても自分でおこなうことができます。しかし、素人が開示請求するのと司法書士や弁護士が開示請求するのとでは貸金業者の対応が大きく変わる場合があります。
自分で取り寄せるリスクや取引履歴を開示請求するときに絶対やってはいけないことを知っておかなければ過払い金請求ができなくなったり、減額されてしまう可能性があります。この記事では自分で取引履歴を取り寄せるときのリスクと損をしないための約束事、計算方法、流れについて解説していきます。
自分でほくせんの取引履歴開示請求をするリスク
個人で取り寄せるとたらい回しにされる
取引履歴開示請求するときは、本人確認が必要となり開示されるまでに時間がかかることがあります。取引履歴開示請求に関して「請求をされた後にどれくらいの時間で手渡すべきか」というルールは設けられていません。
そのため、大手業者でさえ、対応を後回しにすることもあります。
しかし、個人での請求ではなく、司法書士や弁護士などの法律の専門家を通して取引履歴開示請求をおこなうと、個人で取り寄せるよりも早く取り寄せられる傾向があります。
取り寄せている間に時効になってしまう
過払い金の時効は、過払い金の請求書を対象となる貸金業者に送らないと止まりません。貸金業者が取引履歴を送ってこないあいだに時効を迎えてしまうと過払い金請求ができなくなります。
貸金業者の中には取引履歴の返答を遅らせて請求までの時間をかせぎ、時効を狙う業者もいます。取引履歴をうけとってすぐに計算し、請求を出すことは素人には無理です。過払い金の時効が近いかもしれないと思ったら司法書士や弁護士に相談して、取引履歴開示請求から関与してもらうことをおすすめします。
取引履歴を処分している
取引履歴を全て開示してくれる貸金業者もいますが、中には取引履歴を破棄してしまったから開示するものがないという貸金業者もいます。
しかし、取引履歴を処分している状況においても債務者の通帳から返済履歴をたどって過払い金があるか算出することができます。
ただし、取引履歴のない計算は非常にむずかしく、素人には正しい計算がおこなえません。したがって、過払い金請求になれている司法書士や弁護士に頼るほうがよいです。
取引開示に手数料がかかる
貸金業者によっては個人で取引履歴開示請求をすると1000円程度の手数料がかかる場合があります。しかし、面白いことに司法書士や弁護士に依頼すると、この手数料が発生しません。
取引履歴開示請求の手数料の支払いの有無で開示請求が複雑化しストレスがかかるようなら司法書士や弁護士に依頼してしまった方が早く請求ができます。
損をしないために絶対に守るべき約束事
「過払い金請求をする」と伝えないこと
ほくせんから取引履歴を取り寄せるときに、過払い金請求をする、過払い金があるか調べたいといった目的を伝えないようにしましょう。過払い金の調査目的と伝えてしまうとその後に過払い金請求をしても要求が通らなくなる可能性があります。
民法705条では「返済義務がないと知っていて、任意で返済した借金の過払い金は請求することができない」といった内容が定められています。
利用目的を聞かれた時は「現状の支払い状況を知りたい」や「お金の管理を見直したいので取引履歴を確認したい」といったことを伝えれば問題ありません。
借金を帳消しにする「ゼロ和解」には応じないこと
ほくせんから取引履歴を取り寄せるときに、ほくせんから「借り入れを0円にする(ゼロ和解)」、「利息を減額する和解書にサインをする」ことを提示されることがあります。
ほくせんからの条件で和解した場合に、過払い金請求をする権利を放棄することが和解書に記載されていると、過払い金請求が発生していたとしても、過払い金請求をすることができなくなります。
取引履歴をほくせんから取り寄せるときに、「過払い金を払わないかわりに今ある借金をなしにすることができますよ」といった条件を提示してくることがよくあります。
借金に悩んでいる人からすれば、手続きを増やさずに借金が帳消しになるので、応じてしまいそうですが、このような借金を帳消しにする「ゼロ和解」を提示する背景には、今ある借金よりも過払い金の方が多いからという理由があります。
ゼロ和解に応じてしまえばその後やっぱり過払い金請求をしたいと思っても請求できないので、借金を帳消しにするという交渉には応じないようにしましょう。
ほくせんの取引履歴開示請求を自分でする手順
確実に過払い金を請求するためには、取引履歴を自力で請求して計算することも重要です。しかし、取引履歴の詳細な内容を把握していないと、何を見ていいか分からず、不備があっても気が付かないなどの危険性があります。
そのため、取引履歴を請求して過払い金を計算する場合は、司法書士や弁護士などの専門家に依頼することをおすすめします。専門家に依頼すると、取引履歴の内容と請求の適正性をチェックし、過払い金の計算を間違いなく行ってくれます。また、専門家に依頼することで、請求内容を不備なくするための注意点なども正しく把握することができます。
一般的な取引履歴の開示請求のやり方
取引履歴が欲しいことを伝える
借り入れ、キャッシングをおこなった貸金業者やクレジットカード会社に契約してから今までの取引履歴の開示請求を電話でおこないます。電話口で取引履歴がほしいことを伝えると請求目的を聞かれますが、過払い金請求を考えていることは伝えないようにしましょう。
電話で取引履歴がほしいことを伝えると取引履歴開示請求書が郵送で送られてきます(業者によってはホームページでダウンロードできる)。必要事項の記載にミスがないように記入していきます。取引履歴開示請求書に不備があると情報が開示されません。
取引履歴開示請求書と身分証のコピーを同封して開示請求窓口に郵送で送ります。取引履歴の開示に手数料がかかる場合は指定の切手や印紙を同封します。
貸金業者によって取引履歴が届く期間がちがいますが、2週間~2か月以内に取引履歴が自宅に届きます。業者によっては営業所やカスタマーセンターに取りに行くことができます。連絡がない場合は電話をしてみるのも良いでしょう。
ほくせんの取引履歴開示請求の方法
ほくせんの取引履歴開示請求の方法は以下の2点です。
- 電話経由で申し込む
- 直接窓口に行って申し込む
取引履歴は郵送で送られてきます。自分で取引履歴開示請求をすると家族に取引履歴を取り寄せていることが知られる可能性があり、そのことから借金をしている、もしくはしていたことがバレる可能性があります。直接窓口で受け取りに行ったり、司法書士や弁護士に依頼していれば家族に秘密にすることができます。
電話経由で取引履歴開示請求をする
- 個人情報相談窓口に連絡する
- 取引履歴を開示してほしいことを担当者に伝える
- 電話口で生年月日や住所などを伝えて本人確認する
- 開示請求書を郵送してもらう
- 開示請求書に必要事項を記入する
- 本人確認書類(免許証など)のコピーを取る
- 開示請求書と本人確認書類コピーを同封し、郵送または最寄の支店に届ける
- 取引履歴が自宅に送られてくる
直接窓口に行って取引履歴開示請求をする
- 最寄りの支店にいき取引履歴開示請求書をもらう
- 取引履歴開示請求書に必要事項を記入する
- 本人確認書類(免許証など)のコピーを取る
- 開示請求書と本人確認書類コピーを同封し、郵送または最寄の支店に届ける
- 郵送で待つか、店頭で受け取る
原則的に問い合わせ先は業者のホームページに記載しています。手軽にメールやコンタクトフォームから開示請求できる業者もいますが、電話や郵送でのみ受け付ける業者もいます。家族にバレたくない場合は直接店頭に向かうか司法書士や弁護士に依頼しましょう。
ほくせんの取引履歴開示請求先の情報
請求先 | 株式会社ほくせんお客様相談室 |
電話番号 | 011-261-6101 |
ホームページ | https://www.hokusen.jp/ |
家族の取引履歴を請求する方法
家族の取引履歴を請求する場合、本人が亡くなった旨を証明する除籍謄本と、自分が相続人であるのを戸籍謄本で証明する必要があります。除籍謄本は本人の本籍地、戸籍謄本は自分の本籍地の役所で取得できます。遠方の場合は郵送でも取得可能です。
すでにその他の相続手続きを完了している場合、除籍謄本や自分の戸籍謄本がすでに取得済みであるケースが多く見られます。その場合には、取得済みの除籍謄本や戸籍謄本をそのまま利用することが可能です。ただし、発行から3カ月を過ぎている場合、最新のものを取得するように言われることもありますので、ご注意ください。
ほくせんの取引履歴の見かた
取引履歴には、取引時期と金額の情報が明記されています。
まず、すべての履歴が記載されているかをチェックします。次に、取引開始日と履歴に残っている最初の取引日が整合しているかを読み取ります。そして、金利は時期によって異なるため、過去の金利を現在の金利に換算して計算します。最後に、最近の取引でも金利が正しく適用されているかを確認します。
ほくせんの過払い金が発生している条件
2007年6月より前からほくせんで借り入れしていれば、グレーゾーン金利と呼ばれる、利息制限法と出資法の金利差で払いすぎていた利息を、過払い金として、ほくせんに過払い金の返還請求をすることができます。
借り入れ金額によって上限金利が変わります。借り入れ金額が10万円未満の場合は上限金利20%、10万円以上100万円未満の場合は上限金利18%、100万円以上の場合は上限金利15%です。
ほくせんの過払い金を自分で計算する方法(引き直し計算)
無料計算ソフトで計算ができる
取引履歴をもとにして引き直し計算を行うことで、自身に発生している過払い金を算出することができます。 引き直し計算をおこなうためには、エクセルや利息計算ソフトを使用します。利息計算ソフトは、名古屋消費者信用問題研究会やアドリテム無司法書士法人からインターネット上で無料でダウンロードできます。
ダウンロードした後は、取引履歴の内容(金利・金額・日付、返済金額・日付)の内容を利息計算ソフトに入力すれば、計算することができます。
引き直し計算を自分でするリスク
引き直し計算は、過払い金を請求するのに重要な項目です。
金利の変更がある場合は計算が複雑になるので、計算の間違いが起きる可能性があります。過払い金の引き直し計算を間違えると回収できる金額が減ったり、請求できなくなったりする恐れがあります。
したがって、司法書士や弁護士などの専門家に依頼してリスクを回避することをおすすめします。専門家に依頼すれば、金額を1円でも間違えずに過払い金を取り戻すことができ、ほくせんから過払い金の返還を断られるリスクもなくなります。
ほくせんの過払い金請求をする流れ
ほくせんから取引履歴をもらい、引き直し計算をした後は、いよいよ過払い金の請求をほくせんに対しておこないます。過払い金請求をするときは、ほくせんのサービスを取り持つ会社の正式名称、ほくせんの代表者名が必要になるので事前に調べておく必要があります。
ほくせんへ過払い金返還請求書と引き直し計算書を送る
取引履歴を参照して引き直し計算をおこなった計算書とほくせんへ過払い金返還を求める内容の書類を送ります。郵送するときはいつ、誰が、どこに送ったかを証明するために、「内容証明郵便」である必要があります。内容証明郵便は1200円ほどかかります。
- 日付
- 株式会社ほくせん
- 株式会社ほくせんの代表名
- 名前
- 住所
- 連絡先
- 電話番号
- 振込口座名
- 口座番号
- 契約番号、会員番号
- 〇万円の過払い金を返還請求する旨の内容
話し合いで交渉(任意交渉)
ほくせんに対して引き直し計算書と過払い金返還請求書を送ると、引き直し計算をもとに発生した過払い金の返還率や過払い金を返還するまでにかかる期間について話し合いで交渉するために、ほくせんの担当者から電話で連絡がきます。
- 話し合いで成立した場合は指定期日に過払い金が振り込まれます
- 話し合いが不成立の場合は裁判(訴訟)になります
過払い金請求の裁判(訴訟)
任意交渉の過払い金の返還率の提示に納得できない場合は裁判(訴訟)をします。裁判(訴訟)を起こすには引き直し計算書以外に、訴状・証拠説明書・代表者事項証明書(登記簿謄本)が必要になります。また、申立てをおこなうための費用(印紙代)と代表者事項証明書の取得にかかる手数料、ほくせんに訴状の副本を送りつけるための郵券代が発生します。
過払い金の取り戻す金額が変わる取引履歴
ほくせんから借り入れを繰り返している場合、今までの借り入れが「一連の取引」なのか、「分断の取引」なのかが争点となり、判決次第で返ってくる過払い金が変わります。
ほくせんで借り入れをしているときの契約番号が変わらずに取引をしている、もしくは1000円未満の借り入れがあれば「一連の取引」として扱われ、過払い金が多くなる可能性があります。
逆に借り入れを繰り返しているのにもかかわらず、分断された取引として扱われると、借り入れをした金額ごとに過払い金計算をすることになるので取り返せる過払い金は少なくなる可能性があります。
今までの借り入れが「一連の取引」か「分断された取引」かについては、素人が判断できることではないので、過払い金請求を専門とした司法書士や弁護士に相談するべきです。
ほくせんから過払い金が振り込まれる
ほくせんと話し合いが成立したときは、ほくせんとの和解を示す和解書にもとづいて、事前にほくせんに送った指定の口座に過払い金が振り込まれます。
裁判(訴訟)をした場合は、判決内容にもとづいてほくせんに指定した口座に過払い金が振り込まれます。
依頼していた場合は差し引かれた後に振込
過払い金請求の手続きを司法書士や弁護士に依頼してた場合は、依頼事務所の口座に一度振り込まれます。その後、振り込まれた過払い金の中から、相談料や着手金、基本報酬、成功報酬といった費用が差し引かれ、残った金額が、依頼者の口座へ振り込まれます。
司法書士や弁護士の費用・料金は過払い金から差し引かれる
司法書士や弁護士に依頼してかかる費用や報酬の上限金額や定義は、日本司法書士会連合会(日司連)や日本弁護士連合会(日弁連)のガイドラインで定められています。
司法書士は、着手金、基本報酬といった定額報酬が合計5万円以下になること、弁護士は基本報酬の上限が2万円、着手金については上限なしとなっています。加えて成功報酬が20%~30%かかります。司法書士や弁護士に依頼するときは過払い金請求にかかる費用が最終的にいくらになるのか、電話やメールで確認しておくとよいでしょう。
ほくせんの取引履歴開示請求についてよくある質問
- ほくせんの取引履歴開示にかかる期間は?
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取引履歴が開示される期間は貸金業者によってちがいます。さらに個人で開示請求しているのか、司法書士や弁護士が開示請求しているのかでもちがってきます。早い貸金業者では1週間から2週間で手元に取引履歴が届きますが、遅い貸金業者では2か月から3か月程度の時間がかかります。ただし、貸金業者によってそれ以上の時間がかかることもあります。詳しくは「ほくせんの取引履歴開示請求を自分でする手順」をご確認ください。
- ほくせんに取引履歴開示請求をするデメリットはあるのか
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ほくせんに対して取引履歴開示請求をして生じるデメリットは一つもありません。取引履歴開示請求をするとブラックリストに載ってしまう、借り入れができなくなると勘違いする方がいますが、取引履歴を取り寄せただけではそのようなことは発生しません。
取引履歴を取り寄せる上で、「過払い金」についてちらつかせるような発言はやめましょう。場合によっては過払い金が出ることを知って返済を続けていたと言われて過払い金請求ができなくなる可能性があります。