債務整理中の借入がバレると詐欺罪になる可能性がある

債務整理中に借り入れる方法とバレなかった場合でも高いリスク

借金をしている人はお金を借りるクセがぬけず、債務整理中でもお金を借りたくなってしまうことが多いです。

債務整理中でもお金を借りることはできますが、債務整理は借金をなくすための手続きのため、債務整理中にお金を借りていることがバレると借金を返す気がなく、悪意があって手続きをおこなったと判断されて詐欺罪で告訴される可能性があります。

借金をしてさらに犯罪者になってしまったら人生をやりなおすことができなくなります。返済計画通りいかずに悩んでいるなら借りることを考えるのではなく、弁護士や司法書士にもう一度相談するべきです。

目次

債務整理中に借り入れる方法

大手の消費者金融では、債務整理中の手続き中に借り入れることはできません。しかし、中小の貸金業者であれば、債務整理中でも借り入れができる可能性があります。

ただし、返済能力があるかの審査があるので、借り入れ額や収入によっては借り入れができないこともあるので、注意が必要です。

借り入れる前に確認すべき注意点

登録貸金業者情報検索サービスに登録されているか

債務整理中に借り入れをする前に、その貸金業者が金融庁に登録されている業者であるかを確認することが重要です。そのために、「登録貸金業者情報検索サービス」というものを使って調べることができます。

金融庁に登録されていない貸金業者は無登録で活動している貸金業者であり、違法な金利で貸し付けるようないわゆる闇金業者の可能性があるため、借り入れするべきではありません。

闇金は法律で設定されている利息の上限を超えたり、違法な方法で取り立てをすることがあるので、返済がとても大変になることがあります。

できるだけ、闇金に頼らないで、生活を立て直す方法を探すことをお勧めします。ただ、もしどうしてもお金が必要だと感じる場合は、司法書士や弁護士に相談し、借金を減らす方法を探しましょう。

債務整理していない貸金業者か

債務整理をした会社からもう一度借り入れをすることはできません。大手の貸金業者では、親会社・子会社などの関係があって、債務整理の履歴が共有される可能性が高いため、他の貸金業者から借り入れができなくなります

例えば、MUFGグループの会社であるアコムの借り入れを債務整理した場合、三菱UFJ銀行や三菱UFJニコスなどの別の貸金業者から借り入れをしようとしても、MUFJグループの貸金業者へ申し込みをしても審査が通りにくくなります。

債務整理中に借り入れが必要な場合は、以前に借りたことのないグループ会社の貸金業者に申し込んでください。

借り入れ総額が年収の3分の1以下か

借り入れをする場合には、借り入れ総額が年収の3分の1以下であることを確認してください。これは、貸金業法によって定められている「総量規制」と呼ばれ、年収の3分の1を超えて貸し付けてはいけない規則があるためです。

複数の業者から借り入れをしている場合は、その総額が年収の3分の1を超えると借り入れできなくなります。保証人がいても、この総量規制を超える場合は借り入れできません。

ただし、銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫などからの借り入れは総量規制の対象外です。

債務整理中に借り入れるリスク

手続き中の債務整理ができなくなる

債務整理は、貸金業者との和解契約を結び、あるいは裁判に申し立て、お金を返済する額を減らす手続きです。

債務整理中に借り入れをすると、貸金業者が和解を受け入れなくなり、裁判官に認められなくなってしまうリスクがあるため、債務整理中はできるだけ新たに借り入れることを控えるべきです。

借金を減らす債務整理の詳細を確認

貸金業者にバレると任意整理できなくなる

任意整理中に借金したことが貸金業者にバレると和解に応じてもらえなくなります。

任意整理は貸金業者と和解して借金を減らす手続きなので、和解できなければ利息のカットや返済の期間を延ばすことができません。任意整理できなければ、手続き前の借金額でこれから先も返済し続けならなくなります

また、和解交渉に失敗して借金を減らせないだけでなく、任意整理の手続きの対象にした業者と関連会社には「社内ブラック」となります。社内ブラックとは、信用情報機関のブラックリストとは別に、貸金業者が独自に持っているデータベースに事故情報を登録することです。

社内ブラックになっても信用情報機関に傷はつきませんが、ブラックリストが借金を完済してから5年で解除されることに対して、社内ブラックには期限がないので半永久的に取引ができなくなります

債務整理中に別の貸金業者から借り入れをすることで借金が減らせない上に、借金を減らして生活をラクにするはずが、任意整理で人生終わりになってしまうリスクがあります。任意整理の手続き中に、借金をすることは絶対にやめるべきです。

裁判所に認められず個人再生できなくなる

債務整理中に借り入れをすると、個人再生ができなくなる可能性が高くなります。個人再生は、借金の総額の何パーセントを返済するか、毎月の返済日と返済額、返済期間などを決め、裁判所に再生計画を提出し、承認される必要がある手続きです。

しかし、債務整理中に借り入れをすると、再生計画が裁判所に認められなくなり、個人再生に失敗する可能性が高くなります。

免責が認められず自己破産できなくなる

債務整理中に借り入れをすると、自己破産の手続きで借金をゼロにすることができなくなる可能性が高くなります。

自己破産では、裁判所から免責が認められることで借金を全て返済しなくても良くなりますが、借り入れをしていると免責が認められない可能性が高くなります。免責が認められない場合は、借金は全て返済する必要があります。

自己破産が認められない他のケースも確認

弁護士・司法書士との契約を打ち切られる

債務整理中に借り入れをすると、司法書士や弁護士との契約が打ち切られる可能性があります。債務整理をするには、借金を返済する意欲が必要ですが、借り入れをすることはその意欲がないと見られ、手続きが中断されることがあります。

任意整理や個人再生をする場合は、借金を返済している最中に借り入れをした場合は、司法書士や弁護士との契約が打ち切られる可能性があります。

借り入れをしないと返済ができない場合は、司法書士や弁護士に相談して、再和解や再生計画の変更をご検討ください。

借金の返済が苦しくなる

債務整理中に借り入れをすると、もともと返済が簡単だった借金に加えて新しい借り入れの分も返済する必要があります。

その結果、返済が困難になり、また、貸し手に対しても借り入れをしたことが判明した場合、再度借り入れをすることができなくなる可能性があります。自己破産や個人再生にも失敗する可能性が高くなります。

債務整理をしても、借金をして自力で返済できなくなったことを反省して、生活を整えようとする意思がないと意味がありません。債務整理をしてクズと言われる人は、債務整理中や手続き後にも借金をすることで手続きが認められずに失敗して、返済が苦しい生活に逆戻りするだけです。

債務整理中にお金が必要になったときの対処法

生活福祉資金貸付制度

債務整理中にも、生活福祉資金貸付を利用することで、必要な資金を借りることができる可能性があります。

生活福祉資金貸付は低所得者が利用できる制度で、市町村民税が非課税になる程度の年収を持つ人が対象となります。この制度は、総合支援資金・福祉資金・教育支援資金・不動産担保型生活資金の4つに分かれており、借り入れが必要な目的に応じて適切な資金が借り入れられます。

総合支援資金

総合支援金は、低所得者が生活を立て直すために必要な資金を借り入れることができる制度です。総合支援金は、生活支援費、住宅入居費、一時生活再建費の3つに分かれています。

生活支援費は二人以上の世帯の場合は月20万円以内、単身の場合は月15万円以内の借り入れが可能です。住宅入居費は40万円以内、一時生活再建費は60万円以内の借り入れが可能です。

借り入れには保証人がいれば無利子、保証人がいない場合は年利1.5%の低金利で借り入れが可能です。債務整理中に生活を立て直すために必要な資金を借り入れることができるので、債務整理をしても生活が苦しいと感じている低所得者にとって有効な制度です。

福祉資金

福祉資金は、緊急小口資金と福祉費の2種類があります。緊急小口資金は、生活に困った場合に使える小額のお金で、保証人不要で、10万円まで無利子で借りられます。福祉費には様々な目的があり、目的によって借りられる金額が違います。保証人がいれば無利子で借りられますが、保証人がいない場合は年利1.5%で借りられます。

資金の目的貸し付け上限額の目安
生業を営むために必要な経費460万円
技能習得に必要な経費およびその期間中の生計を維持するために必要な経費技能を習得する機関が
6ヵ月程度 130万円
1年程度 220万円
2年程度 400万円
3年以内 580万円
住宅の増改築、補修などおよび公営住宅の譲り受けに必要な経費250万円
福祉用具などの購入に必要な経費170万円
障碍者用の自動車の購入に必要な経費250万円
中国残留邦人などにかかる国民年金の追納に必要な経費513.6万円
負傷または疾病の療養に必要な経費およびその療養期間中の生計を維持するために必要な経費療養期間が
1年を超えないとき 170万円
1年を超え1年6ヵ月以内であって、世帯の自立に必要なとき 230万円
介護サービス、障碍者サービスなどを受けるのに必要な経費及びその期間中の生計を維持するために必要な経費介護サービスを受ける期間が
1年を超えないとき 170万円
1年を超え1年6ヵ月以内であって、世帯の自立に必要なとき 230万円
災害を受けたことにより臨時に必要となる経費150万円
冠婚葬祭に必要な経費50万円
住居の移転など、給排水設備などの設置に必要な経費50万円
就職、技能習得などの支度に必要な経費50万円
その他日常生活上で一時的に必要な経費50万円

教育支援資金

教育支援資金は、高校や大学、高専などの学校で学ぶために必要な費用を借りることができます。教育支援費と就学支度費の2つの種類があり、それぞれ異なる借り入れ可能額が設定されています。

教育支援費は、高校で月3.5万円、高専で月6万円、短大で月6万円、大学で月6.5万円まで借りられます。特に必要な場合は1.5倍の金額まで上限を引き上げることができます。就学支度費は50万円まで借りられます。

これらの借り入れは無利子で、債務者の世帯の生計を支えている人が連帯借受人として返済に協力する必要があります。

不動産担保型生活資金

不動産担保型生活資金は高齢者世帯に対して、住んでいる家を担保にして生活資金を貸し付ける制度です。また、要保護の高齢者世帯に対しても同様の制度があります。これらの制度に利用するには条件があることに留意してください。

不動産担保型生活資金の条件

  • 貸借権や抵当権などが設定されていない評価額1,500万円以上の持ち家がある(一軒家のみ)
  • 持ち家はお金を借りる高齢者が一人で所有している、もしくは配偶者と共有している
  • 配偶者または親以外が一緒に住んでおらず、全員が65歳以上である
  • 生活保護を受けていない
  • 反社会勢力ではない

不動産担保型生活資金の条件に当てはまれば、持ち家の土地の評価額の70%を上限として、月30万円まで借りられます。借り入れ期間は、借りている人が亡くなるか、貸し付けの上限金額に達するまでで、期間終了後に持ち家を売却して返済することになります。

年利3%もしくは長期プライムレートのうち低いほうが利息となり、連帯保証人が必要で、推定相続人から1人が選ばれます。

要保護世帯向け不動産担保型生活資金の条件

  • 貸借権や抵当権などが設定されていない評価額500万円以上の持ち家がある(一軒家もしくは集合住宅)
  • お金を借りる人と配偶者が65歳以上である
  • お金を借りる人の世帯が制度を利用しないと生活保護を受ける必要があると福祉事務所が認めている

要保護世帯向け不動産担保型生活資金の条件に当てはまっていれば、持ち家の評価額の70%(一軒家の場合)もしくは50%(集合住宅の場合)を上限に、生活扶助費(生活保護を受けている人がもらえる金額)の1.5倍まで毎月借り入れが可能です。

借り入れ期間は、借りている人が亡くなる、貸し付けの上限金額に達するまでで、借り入れ期間が終了すると持ち家を売却して返済するか、借りている人が亡くなった場合は相続人が返済をする必要があります。

連帯保証人は不要で、利息は年利3%もしくは長期プライムレートのどちらか低いほうで設定されます。

年金担保貸付制度

年金担保貸付制度は国からお金を借り入れるために国民年金や厚生年金保険、労働者災害補償保険を担保にする制度です。

生活や病気などでお金が必要な時に1年間で支払う年金の80%以内で、10〜200万円の金額で借りることができます。ただし、申請する前に年金の証明書を準備しなければならないので注意してください。

求職者支援資金融資制度

求職者支援資金融資制度は、転職や再就職を希望している人に対して、職業訓練を無料で受けながら月に10万円の支援を受けることができる制度です。もし、支援金である10万円で生活が成り立たない場合は、労働金庫から借り入れを申し込むことができます。

母子父子寡婦福祉資金貸付制度

母子父子寡婦福祉資金貸付制度は、ひとり親の世帯(母子家庭や父子家庭)が、子育てや家事のために時間的に制約を受ける場合に、生活費の不足分を借りることができる制度です。

また、子供の入学日や学費などで一時的にお金が必要な時にも利用することができます。審査により最大314万円の融資を受けることができ、連帯保証人がいれば利息がゼロになることもあります。

債務整理中に生活が苦しい場合は、この制度を使ってお金を借りることができるので、選択肢の一つとして検討することができます。

善意銀行の貸付事業

債務整理中に生活が苦しい場合は、寄付金で成り立っている善意銀行から借入を申し込むことができます。善意銀行は、利益を目的にしていないため利息はかからず、最大で10万円まで借りることができます。

借りる額は地域によって違いますが、1〜10万円の範囲内です。申請をするには生活資金が足りていないことが伝われば審査に通るので、申し込んでみることをお勧めします。

債務整理の手続きの流れ

債務整理の手続きをしたあとに、お金が足りなくて生活が苦しくなる可能性もありますが、債務整理をした後のことばかり心配して、借金問題を解決しないことの方がリスクがあります。

借金問題で債務整理をするかどうか悩んでいる方は、債務整理を弁護士や司法書士に依頼して終了するまでの一連の流れについて解説しているので、参考にしてください。

STEP
弁護士・司法書士へ借金問題の相談

借金問題を専門とする弁護士または司法書士に、自分の借金の返済を楽にする方法や減額救済方法について相談してください。

STEP
ご依頼

債務整理(任意整理や個人再生、自己破産)をする内容が決まれば、実際に依頼をして手続きをおこなってもらいます。

STEP
受任通知の送付(貸金業者からの取り立てが止まる)

弁護士や司法書士に依頼をするとすぐに貸金業者へ受任通知がおこなわれます。受任通知によって貸金業者からの取り立てや督促が停止します。

STEP
弁護士・司法書士が貸金業者と交渉

受任通知後は弁護士や司法書士が依頼者の代わりとなって貸金業者と交渉をおこないます。個人再生や自己破産を選択された場合は裁判所への必要書類の作成や申立てをおこなってもらいます。

STEP
交渉終了(借金がある場合は返済開始)

弁護士や司法書士による交渉が終わり、借金の返済が残っている依頼者は定められた期間で返済しきれるように計画通りに返済を続けていきます。自己破産を選んだ方は借金の返済が免除されるため、返済する必要はなくなります。

債務整理中の借り入れについてよくある質問

債務整理中に借り入れはできる?

大手の消費者金融では、債務整理中には借り入れできません。しかし、中小規模の貸金業者や国の制度を活用すれば債務整理中でも借り入れができるかもしれません。
借り入れする方法はこちら

債務整理中に借入するリスクは?

債務整理中に借り入れをすると、貸金業者が和解を受け入れなくなり、裁判官に認められなくなってしまうリスクがあります。依頼先の事務所との契約も破棄されるため、借り入れは控えるべきです。

詳しくはこちら

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