任意整理後もクレジットカードが使える裏技と新規で作れる方法
債務整理後はブラックリストに載るため、原則としてクレジットカードは使えなくなり、新規のカード発行もできなくなります。
しかし、債務整理の手続きの1つである任意整理を選べばクレジットカードを使い続けられる可能性があります。さらにカード会社によっては債務整理後でもカードを新規で作れるケースがあります。
債務整理をしたいけど、カードが使えなくなるのは嫌だ、カードを新しく作れる方法を探しているという人は目を通しておくべきです。
任意整理がクレジットカードに与える影響
任意整理をすると借金の負担が軽減される一方で、クレジットカードが使用できなくなってしまうのではないかと不安になる方も多いです。クレジットカードを任意整理すると生活に大きな影響がでます。
クレジットカードを任意整理することで起こること生活への影響について、手続きをする前にご確認ください。
クレジットカードが使えなくなる
任意整理をしたクレジットカードは、使えなくなります。
弁護士や司法書士は任意整理の依頼を受けると、貸金業者へ受任通知を送付して、借金の返済を一時的にストップします。受任通知を受け取ったクレジットカード会社は、クレジットカードを強制解約するので、クレジットカードが使えなくなります。
受任通知を送付して即日か、遅くとも3日でクレジットカード会社に届くので、任意整理の手続きを始めたらクレジットカードがすぐに使えなくなると思った方が良いです。
ECTカードや家族カードが使えなくなる
クレジットカードには、付帯サービスとしてETCカードや家族カードがありますが、クレジットカードを任意整理するとETCカードや家族カードも使えなくなります。
クレジットカードが強制解約されることで、ETCカードや家族カードも一緒に強制解約となります。
クレジットカード専用のポイントを失効する
クレジットカードを任意整理すると、クレジットカードが強制解約になるので、クレジットカードのポイントも失効して使えなくなってしまいます。
クレジットカードのポイントが大量に貯まっている場合は、失効をしないうちにショッピング払いにあてたり、別のサービスに消化してポイントを使うようにしましょう。
クレジットカードを新規作成できない
任意整理すると、個人の信用情報に事故情報が記録される(ブラックリストに載る)ので、新しいクレジットカードの申し込みやローン申し込み、スマホの分割払いなども受け付けてもらえなくなります。
任意整理した後は、減額した借金を3年~5年かけて返済して、その借金を完済してから5年間はブラックリストに載ることになります。クレジットカードの審査は、信用情報機関(CIC・JICC・KSC)で個人の返済能力を参照して、カードを発行するか決定しています。
クレジットカードの審査は、信用情報機関のみではなく、年収や属性(正社員、フリーターなど)、勤続年数といった情報も参照しますが、信用情報機関の記録が大きく影響するので、ブラックリストに載っている期間はクレジットカードの新規作成は難しくなります。
任意整理した後にクレジットカードを使いたいときの対処法
デビットカードを使う
デビットカードは、クレジットカードと同じように決済に利用できる支払いシステムです。カードの発行に審査がないので、信用情報に事故情報が記録されていても作ることができます。
デビットカードには、銀行口座のキャッシュカードを利用できるものと、クレジットカード会社が発行したVISAやJCBといったブランド付きデビットカードの2種類があります。ブランド付きデビットカードは、海外の加盟店でも使用可能です。
デビットカードは、店舗やネットショップなど支払いでクレジットカードのように使用できますが、使用すると銀行口座から即時で引き落とされるので、口座に入金されている金額を超えた取引はできません。
また、クレジットカードのように、キャッシングやリボ払いをすることができないことには注意が必要です。
プリペイドカードを使う
プリペイドカードは、事前に現金をチャージすれば、そのチャージ金額内でキャッシュレス決済ができるカードです。
プリペイドカードも、デビットカードと同様に審査がないので、ブラックリストに載っていても発行することができます。
ただし、チャージ金額を超えた決済はできないことと、公共料金の支払いには使用することができません。
家族カードを使う
家族カードは、クレジットカードを作成した主契約者の家族が発行できる、家族用のクレジットカードのことです。
任意整理しても家族には影響がないので、家族がクレジットカードを所有していれば、家族カードを発行することができます。
家族カードを持つことに問題はないですが、家族カードを使いすぎることで、この先家族の信用情報に影響が出てしまう可能性があるので、使い過ぎには十分注意が必要です。
ETCパーソナルカードを使う
任意整理した後にETCカードを使用したい場合は、ETCパーソナルカード(パソカ)を使いましょう。
ETCカードは、クレジットカードの付帯サービスなので、クレジットカードが使えないと発行できませんが、ETCパーソナルカードは、デポジット(保証金)をしておけば、高速道路でETCカードの代わりとして使用することができます。
高速道路でのETC機能としてしか利用できませんが、ETCパーソナルカードには審査がないので、ブラックリストに載っていても発行することができます。
使用したいクレジットカードを任意整理の対象から外す
任意整理は、手続きの対象とする借金を選ぶことができるので、使用したいクレジットカードを任意整理の対象から外すことで、クレジットカードを利用できる可能性があります。
ただし、クレジットカードを更新するときや、キャッシング枠の増額審査を受けるときに、クレジットカード会社が信用情報を確認します。
任意整理をすると信用情報機関に事故情報が記録される(ブラックリストに載る)ので、信用情報機関を参照したクレジットカー会社が、クレジットカードを強制解約する可能性があります。
任意整理した後にクレジットカードを新規作成するポイント
任意整理した借金を完済してから5年経過すると、任意整理した事故情報が信用情報機関からなくなります。
事故情報がなくなってから新しくクレジットカードを作成することは可能ですが、すぐにクレジットカード審査にかけると落ちたり、いつまでも審査に通過できないクレジットカード会社があります。
任意整理後のクレジットカードの審査に通りやすいように、クレジットカードを新規作成するときのポイントを解説します。
任意整理していないカード会社・関連会社を選ぶ
クレジットカードを任意整理すると、そのクレジットカード会社には任意整理した情報が一生残ります。いわゆる「社内ブラック」と呼ばれる状態で、任意整理をした会社とその関連会社のあいだで、任意整理の情報が共有されます。
そのため、任意整理をしたクレジットカード会社とその関連会社は、ブラックリストが消えたからといってクレジットカード審査に申し込んでも審査を通過することができません。
信用情報からブラックリストが消えた後に、クレジットカードを新規作成する場合は、任意整理の手続きをしていないクレジットカード会社を選んで申し込みをするべきです。
利用限度額が低いクレジットカードに申し込む
任意整理後に、新しいクレジットカードを申し込むときには、利用限度額が低いカードに申し込むようにします。
利用限度額が低いクレジットカードなら、返済の遅れや滞納のリスクが少ないと判断されやすいので、ブラックリストから消えていれば審査に通る可能性が高いです。
クレジットカードを使用したいからといって限度額を高くせず、できるかぎり利用限度額が低いカードを優先して申し込むようにしてください。
1度に1社ずつ新規申し込みをする
クレジットカードを作成するときには、1度に1社ずつ新規申し込みをするようにしてください。
クレジットカード会社は、審査申し込み記録をクレジットカード会社のあいだで共有しているので、複数の会社に同時に申し込むと「何か問題があるのではないか」と不審に思われて、審査に落ちる可能性が高くなります。
どこか1社でも通れば良いからといって複数社に申し込まず、1度の申し込みは必ず1社だけにしましょう。
審査に落ちたら半年以上は申し込み期間をあける
クレジットカードの審査に落ちた直後に、別の会社でクレジットカードを申し込んでも、審査が通りづらいです。
クレジットカード審査から6カ月間は、信用情報機関に記録が残ります。
審査に落ちた直後に別のクレジットカード会社に審査を申し込んでも、信用情報機関の審査記録を見て、返済状況に問題があると判断されやすいです。審査に落ちたら、最低でも半年は審査に申し込まないようにします。
できるかぎり新しい信用情報を残す
任意整理して借金を完済すると5年後にブラックリストから消えたら、できるかぎり新しい信用情報(クレジットヒストリー)を残しましょう。
ブラックリストに載っているあいだは借り入れの返済やクレジットカードの利用履歴がありません。信用情報に取引の記録がなく不審に思われることで、クレジットカードの審査に落ちる可能性があります。
信用情報を残すことで、クレジットカードの審査に通りやすくなります。携帯電話を分割払いで購入して1年ほど支払いを続けるようにすると、分割払いをした記録を信用情報として残すことができるので、クレジットカードの審査に通りやすくなります。
クレジットカードを任意整理する前にやるべきこと
クレジットカードの任意整理をする前には、銀行口座から引き落としされているクレジットカードの支払いを停止する必要があります。銀行口座の残高をゼロにして、引き落としがおこなわれないようにします。
また、公共料金や携帯電話の使用料といった支払いにクレジットカードを使用している場合は、クレジットカードを任意整理すると支払いができなくなってしまいます。
任意整理をする前に支払方法を変更する必要があるので、携帯会社や各公共機関に連絡をして変更しましょう。
任意整理して借金を減らすまでの流れ
任意整理を弁護士や司法書士に依頼すると、およそ2か月〜4か月で貸金業者と和解することができます。和解するまでの手続きのほとんどは依頼した弁護士・司法書士に任せられます。
任意整理の手続きをした後は、貸金業者と和解した契約に基づいて3年~5年かけて借金を返済することになります。
相談・依頼
債務整理を取り扱っている弁護士や司法書士に相談します。返済状況を説明して、任意整理で借金を返済できることが確認できたら、正式に依頼をします。
任意整理を依頼したら、弁護士・司法書士が貸金業者に受任通知を送付します。受任通知が貸金業者に届いたら返済の督促が止まりますが、依頼した即日に止まることもあれば、3日で止まることもあります。
弁護士・司法書士が各貸金業者から借りた金額や返済状況を知るために、「取引履歴」の開示を請求します。取引履歴には、いつ、いくら借りたのか、いつ、いくら返済したのかなどの借入状況や返済状況が記録された資料であり、開示請求をしてから1週間から1か月程度で取引履歴を入手することができます。
貸金業者から取引履歴を受け取れたら、過払い金がいくらあったかを計算します。過払いがあった場合は、貸金業者に対して過払い金請求を行います。
残りの借金の返済内容について貸金業者と直接交渉します。交渉した内容について和解ができた場合に和解契約を結びます。交渉から和解までには大体1か月~2か月かかります。
もし貸金業者との交渉で和解に至らなかった場合、裁判になる可能性があります。任意整理における裁判では、裁判上での和解によって解決します。裁判で和解するまでには半年程度の時間がかかることが多いです。
直接交渉で和解あるいは裁判で両者が和解した支払い条件に基づいて返済をしていきます。
クレジットカードの任意整理についてよくある質問
- 任意整理してもクレジットカードは使える?
-
任意整理を選択をしたクレジットカードは、利用停止となります。
弁護士・司法書士から送られた受任通知を受け取ると、カード会社はカードを強制解約するので、カード会社に通知が届いた当日から3日を目安に、クレジットカードは使えなくなります。
「任意整理がクレジットカードに与える影響」で、くわしく解説しているので参照してください。
- 任意整理の後にクレジットカードは作れる?
-
任意整理をした後にクレジットカードは作れます。
ただし、任意整理した借金の完済後5年はブラックリストに載るので、クレジットカードを新規作成することができません。また、任意整理した後のブラックリストが消えても、任意整理した会社に申し込んだり、1度に複数社申し込むとクレジットカードが作れないので注意が必要です。
この他にも注意点があるので、くわしくは「任意整理した後にクレジットカードを新規作成するポイント」を参照してください。