銀行のカードローンに過払い金は発生するか知らないと損をする理由

銀行カードローンに過払い金は発生しないが勘違いすると損をする理由

銀行カードローンは利息制限法の金利20%以内での貸し付けをおこなっていたため、2010年6月以前の借り入れをおこなっていたとしても過払い金が発生しません。

しかし、銀行系クレジットカードとよばれる、銀行の系列であるカード会社によるクレジットカードを利用して2010年6月より以前にキャッシングをしたことがある人は過払い金が発生している可能性があります。

銀行カードローンと銀行系クレジットカードを混同してしまうと、実は過払い金が発生していたのに、発生していないと思って請求をせず、時効を迎えてしまう恐れがあります。本記事ではカードローンで過払い金が発生しない理由、銀行系クレジットカードで過払い金が発生する仕組みと発生しないパターンについて解説しています。

目次

過払い金が発生する仕組み

お金を借り入れるときの上限金利は出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の中の「利息制限法・出資法」によって定められています。

2010年以前の貸金業の実態

利息制限法は20%でしたが、出資法は29.2%だったため、貸金業者の多くは出資法に合わせて上限金利を29.2%で貸付をおこなっていました。

貸金業法と出資法の改定

2010年6月に多重債務問題が社会問題となり、貸金業法と出資法が改定されました。その結果、上限金利は出資法で認められていた29.2%から利息制限法と同じ20%に引き下げられることになりました。

2010年6月以降の貸金業

2010年6月より以前に借り入れをしていれば、利息制限法20%と出資法29.2%の差分(グレーゾーン金利)として払いすぎていた利息が発生しているということになります。払いすぎていた利息を過払い金と呼び、貸金業者に請求することができます。

銀行のカードローンに過払い金が発生しない理由

利息制限法の範囲内である

銀行のローン(貸し出し金)にも法定上限金利が適用されていますが、銀行は20%〜29.2%のグレーゾーン金利で貸し出しをおこなっていなかったため、過払い金が発生しません。そのため、銀行からお金を借りていた人(銀行カードローンを利用していた人)は過払い金請求の対象になりません。

ただし、過払い金が発生しなかったとしても、返済がむずかしく、生活が困難であれば、債務整理(任意整理、個人再生、自己破産)をおこなって毎月の返済額を減額したり負担を減らすことができる可能性があります。

任意整理とは

任意整理とは、貸金業者と直接交渉することで、将来利息をなくして元金のみを3年~5年に延ばし、毎月の返済額を減らすことができる手続きです。

任意整理は手続きする借金を選択することができるため、財産を担保にしている借金や保証人がついている借金を、任意整理の対象から外すことができます。

利息をなくして毎月の負担額を減らしたい方におすすめの方法です。
詳細は「任意整理とは?メリット・デメリットと手続きした方がいい人」を参照ください。

個人再生とは

個人再生は、借金を返済できない場合に裁判所に申し立てて、裁判所が承認した再生計画に沿って、借金を最大1/10まで減らせる手続きです。

個人再生においてはすべての借金が対象になりますが、「住宅ローン特則」を適用することで、自宅を残しながら借金を大幅に減額することができます。

今ある借金を1/5~1/10にまで減額できます。財産を保持したまま借金を減らせるのがメリットです。詳細は「個人再生とはわかりやすく費用や手続き流れ・失敗しない方法を解説」を参照ください。

自己破産とは

自己破産とは、借金が返済できなくなった個人が裁判所に申し立て、財産を処分して借金を返済するか、借金を全部無くす手続きをすることです。

自己破産に必要な書類を裁判所に提出して、不備がなければ、破産や免責の手続きが進み、借金をゼロにすることができます。

財産はすべて処分することになりますが、借金を返す目途が立たない方は検討すべき方法です。詳細は「自己破産とは?デメリットやかかる費用と流れ・破産後の生活について」を参照ください。

銀行系クレジットカードは過払い金が発生する条件

借り入れ先が銀行ではない場合は過払い金発生の可能性あり

銀行カードローンは銀行が発行した借入用のカードで、三井住友銀行のカードローンなどがあります。

一方、銀行系のクレジットカードは銀行系のカード会社が発行したカードで、三井住友銀行を例にすると三井住友VISAカードなどがあります。これらのカードを利用して借入することをキャッシングと言います。

銀行系のクレジットカードは銀行系会社が発行していますが、借入先は銀行ではなくカード会社となります。そのため、2010年以前は利息制限法の20%の金利を超えた高金利で貸し出しを行っていた可能性があり、過払い金が発生している可能性が高いです。

銀行系クレジットカードの過払い金請求ができる条件

過払い金請求ができる条件として、2010年以前にクレジットカードのキャッシング枠を利用して借入をしていること、返済中または完済から10年以内であること、請求先の会社が存在していることが挙げられます。ただし、過払い金請求には時効があり、完済から10年が経過すると取り戻すことができなくなります。

また、借り入れをしていた会社が倒産している場合は過払い金請求することができません。

  • 2010年以前にクレジットカードのキャッシング枠を利用している
  • 返済中または完済から10年以内である
  • 請求先の会社が倒産していないこと

銀行系カードローンと銀行系クレジットカードの意味を混同してしまうと、実は過払い金があったのに請求できると気づかずに時効を迎えて請求できなかったといったことにつながりかねません。自分の持っているカードがどちらなのか分からないといった人は借り入れに詳しい専門の司法書士や弁護士に相談してみるとよいでしょう。

過払い金を依頼しておこなう流れ

STEP
電話かメールで相談する

弁護士・司法書士事務所に電話かメールで過払い金請求を相談します。

過払い金請求を専門とする事務所の方が過払い金の返還率が高い傾向があります。相談する前、過払い金を専門とするかどうか確認しましょう。

相談料は30分~60分で5,000円程度が相場とされていますが、無料に設定している事務所も多いです。

STEP
依頼・契約する

弁護士・司法書士事務所に過払い金請求を依頼し契約します。

依頼するとかかる着手金は貸金業者1社あたり2万円~3万円程度が相場とされています。

依頼した時点で返済中の借金の督促をストップさせることができます。

STEP
過払い金請求する
取引履歴の開示請求の流れ3

弁護士・司法書士が引き直し計算をし、貸金業者に過払い金返還請求書と引き直し計算書を送ります。

STEP
交渉する

弁護士・司法書士に貸金業者と過払い金の返還額・過払い金の支払期限を交渉してもらいます。

過払い金の計算や貸金業者との交渉にかかる基本報酬は貸金業者1社あたり2万円~3万円程度が相場です。

過払い金の金額に納得できなければ裁判をおこない、交渉します。

STEP
裁判をする

交渉で過払い金の返還額に納得できなければ、裁判をおこない交渉を続けてもらいます。

裁判をおこす場合は裁判をする際の手数料が実費でかかります。

裁判による交渉はすぐに判決が出ることがほとんどですが、納得できる判決が出るまで交渉してもらうことも可能です。

STEP
入金がある

過払い金は弁護士・司法書士事務所に振り込まれた後に、成功報酬を引いた金額が個人口座に入金されます。

成功報酬は、和解で取り戻した場合は過払い金の20%、裁判で取り戻した場合は過払い金の25%が上限です。

過払い金請求に慣れている弁護士・司法書士なら交渉や裁判を終えた後の入金も1週間~10日程度と自分で請求するよりも断然早いです。

銀行系クレジットカードは過払い金が発生しない条件

キャッシングではなくショッピングの利用は発生しない

ショッピング

銀行系クレジットカードのショッピング枠は過払い金請求の対象外である理由は、ショッピング枠では金利や利息ではなく、支払いの立て替え分を「手数料」としてカード会社に支払う仕組みになっているからです。ショッピング枠は、利息制限法や出資法ではなく、割賦販売法が適用され、利息は一切発生しないため過払い金請求の対象外となります。

銀行カードローンの過払い金によくある質問

銀行カードローンに過払い金は発生する?

借入先が銀行の場合は過払い金が発生している可能性が極めて低いですが、銀行が母体となっている貸金業者から借り入れいている場合は過払い金が発生している可能性が高いです。詳しくは「銀行系クレジットカードは過払い金が発生する条件」をご確認ください。

過払い金はいつまでさかのぼってみることができますか?

取引履歴は原則的に契約当初からのデータ残す必要があるので、取引履歴開示請求を貸金業者に対しておこなえば昔の借金に対して発生する過払い金を請求することができます。ただし、過払い金請求には時効が設けられているので注意が必要です。より詳しい情報は「銀行系クレジットカードの過払い金請求ができる条件」をご確認ください。

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