任意整理の費用30万円が高くて払えないときの対処法
借金の返済ができずに困っている中、任意整理にかかる費用が30万円かかることを知って、まとまった費用が払えないから諦めなければいけないのかと不安に感じるかもしれません。
任意整理にかかる費用は依頼する弁護士・司法書士によってちがいますし、任意整理する借金の数によってもちがいます。
任意整理を検討している人は、任意整理の費用が高いケースと安いケースを知っておくと同時に、任意整理の費用が支払えないときの対処法を知ってから手続きを始めるべきです。
任意整理の費用が高いか安いかを判断するポイント
任意整理の費用30万円が安いかどうかは手続きする事務所によってちがいます。ただし、費用の相場がわからなければ高いか安いかを判断することができません。
まずは任意整理の費用相場を確認するべきです。
任意整理の費用相場は1社あたり5万円
任意整理には、相談料、着手金、基本報酬、減額報酬の4つの費用が含まれています。
任意整理の費用は自由に設定できるため、弁護士事務所・司法書士事務所によって費用の内訳がそれぞれちがいますが、1社あたりにかかる任意整理の費用相場は5万円前後です。
費用名目 | 費用の相場 |
相談料 | 0円~5,000円 |
着手金 | 1社あたり20,000円~50,000円 |
基本報酬 | 1社あたり20,000円~50,000円 |
減額報酬 | 減額した金額の10% |
任意整理の費用は日弁連・日司連によって上限が決められている
弁護士事務所や司法書士事務所が設定できる任意整理の費用には上限があります。
費用の上限については日本弁護士連合会・日本司法書士連合会がそれぞれ定めていて、利用者の負担が大きくなるような不利な契約されないように守る役割があります。
ほとんどの事務所では、日弁連・日司連が定める価格帯に設定されているため、任意整理の費用相場に収まっていれば、費用面で心配する必要はありません。
任意整理の費用30万円が高いケースと安いケース
任意整理の費用30万円が高いケース
1社あたりの費用が5万円を超える
任意整理の相場である1社あたり5万円を超えるケースは、任意整理の費用30万円が高いといえます。
例えば、1社あたり5万円の費用で、6社の借金に対して任意整理をおこなうときにかかる費用総額は30万円ですが、費用が相場の範囲内であるため、特別高いとはいえません。
しかし、1社あたり7.5万円の費用で4社の借金に対して任意整理をおこなうと、費用総額が30万円になりますが、費用相場を超える価格設定のため、費用が高いといえます。
相場にある5万円で4社分の借金を任意整理すると20万円の費用がかかることになるので、比較してみても費用が高いことがわかります。
任意整理で減らせる借金よりも費用が高い
任意整理の費用が相場の範囲内であっても、任意整理で減らせる借金が少なければ費用が高いといえます。
任意整理は今後支払うべき利息をカットする手続きですが、借金の金利が低いと減らせる金額が少なくなります。
なお、減らせる金額が少なくても任意整理にかかる着手金や基本報酬は一律の金額になっているので、手続きする借金によっては任意整理をしても意味がないケースもあります。
任意整理の費用30万円が安いケース
1社あたりの費用が5万円を下回る
費用相場を下回る価格になっていれば30万円の費用でも安いケースがあります。
例えば、8社の借金に対して任意整理をおこなうときに、かかる費用総額が30万円だったとしても、1社あたりの費用が3.75万円なので、相場よりも安いといえます。
任意整理の費用を安く抑える方法
費用を分割払いできる事務所に依頼
多くの人が一括で任意整理の費用を払わなければいけないのかと不安に感じているかと思います。しかし、多くの弁護士や司法書士の事務所は費用を分割して支払うことができるので、負担を軽くすることができます。
また、任意整理の手続きを始めてから和解が成立するまでの間は任意整理する借金の返済が止まります。
事務所にかかる費用を支払い終えてから、任意整理した後の借金を返済できるようにスケジュール調整をするので、任意整理にかかる費用の支払いと借金の返済のタイミングが重なるような心配はありません。
費用を分割して支払う回数は事務所によって違いますが、多くの事務所では6回から12回の分割払いをやっています。
6回払いで費用を支払った場合
4社分の任意整理について、借り入れ、返済、収入、支出といった状況をもとに費用と支払い回数を話し合った結果、120,000円を6回払い(1回あたり20,000円)となりました。
費用の支払い日は給料日のあとに合わせて日程調整できるので、費用が払えないリスクを最小限におさえられます。
1ヶ月目 | 相談 | 0円 |
2ヶ月目 | 受任通知の送付・費用の支払い | 20,000円 |
3ヶ月目 | 費用の支払い | 20,000円 |
4ヶ月目 | 費用の支払い | 20,000円 |
5ヶ月目 | 費用の支払い | 20,000円 |
6ヶ月目 | 費用の支払い | 20,000円 |
7ヶ月目 | 費用の支払い | 20,000円 |
8ヶ月目 | 貸金業者と和解、借金の返済開始 | 和解して確定した返済額 |
費用を後払いができる事務所に依頼
司法書士や弁護士の多くは、貸金業者との交渉にかかる費用を受け取ってから、任意整理に必要な書類の作成と貸金業者との交渉を始めます。
しかし、一部の事務所では、貸金業者と和解した後に解決報酬金として書類作成や交渉に書かkる費用を後払いできます。
後払いになるため任意整理の手続き中の支出をおさえることができますが、任意整理の手続きが完了した後に必ず支払うことになりますので、費用に充てるお金は確保するべきです。
費用が安い事務所に依頼
日弁連(日本弁護士連合会)や日司連(日本司法書士会連合会)では、任意整理にかかる費用についての指針が定められています。
これらはあくまでも指針であり、定められた指針の範囲外の費用を設定しても問題はないとされています。指針で示された金額よりも高い費用を設定している事務所もあれば、指針で示された金額よりも低い費用を設定している事務所もあります。
任意整理を依頼する前に、事務所が指針よりも安い費用を設定しているか確認するべきです。特に指針より大幅に安い費用を設定している事務所の場合は、貸金業者との交渉経験が豊富なのかを確認することが重要です。
任意整理で借金を減らすためには、交渉力が重要ですが、費用が安くても交渉経験が浅い事務所に依頼すると、借金を減らすことができない場合があります。
日本弁護士連合会の費用指針(任意整理)
着手金 | 基本報酬 | 減額報酬 |
上限なし | 20,000円以下/1社 | 減額分の10%以下 |
日本司法書士会連合会の費用指針(任意整理)
着手金+基本報酬 | 減額報酬 |
50,000円以下 | 減額分の10%以下 |
任意整理する貸金業者を選ぶ
任意整理では、今かかえている借金すべてを手続きする必要はなく、減らしたい借金を選択することができます。
弁護士や司法書士が設定している費用形態によっては、任意整理の対象にする貸金業者の数が増えると、事務所に支払う費用の総額が高くなる可能性があります。
任意整理する貸金業者が多い場合、金利が高くて借金の金額が多い貸金業者だけを任意整理することで、事務所にかかる費用をおさえながら返済額を減らすことができます。
一部の事務所では、任意整理で減らした月々の返済額や手続きする貸金業者の数によって費用を調整できるので、正式に契約をする前に弁護士・司法書士に相談するべきです。
法テラスに相談
法律支援を目的とした国の機関である法テラス(日本司法支援センター)が行っている「民事法律扶助制度」を利用することで、任意整理にかかる支払いを毎月5,000円から10,000円に減らすことができます。
この制度は、司法書士や弁護士に依頼する費用を支払うことができない人が利用できます。ただし、利用するには月給や資産に基準があります。
任意整理の費用が高くて払えないときの対処法
任意整理を依頼した事務所に相談
任意整理をする場合、予期しない事情で支払いができなくなることがあります。例えば、会社の業績が落ちて収入が落ち込んだり、病気にかかって出費が増えた場合などです。
支払いができなくなると、弁護士や司法書士との契約が解除され、貸金業者から督促状が届く可能性があります。督促状を無視して返済金額を延滞すると、和解契約が無効になり、一括請求を受けるリスクがあります。
費用が払えなくなったり返済ができなくなったりする場合は、なるべく早く弁護士や司法書士にご相談してリスクを最小限に抑えるようにしてください。
2回分または2か月分を滞納する前に支払う
任意整理の期間中に、2回分または2か月分の支払いを滞納すると、残りの借金の一括請求をされます。ただし、滞納が1か月分の場合は支払いを続けることができます。
そのため、次の月に2か月分の支払いをするか、翌月と翌々月に1.5か月分の支払いをすることで、または1か月遅れの状態を維持し、次のボーナスで遅れ分を支払うことで解決することができます。
再び任意整理する(再和解)
任意整理の支払い期間中に2か月分の支払いを滞納する場合は、もう一度和解する必要があります。
ただし、再和解の場合は条件が厳しくなってしまい、未払いが1か月あれば一括請求されることがあったり、支払い期間が短くなって毎月の支払額が増えたりする可能性があります。
対象の借金を追加する(追加介入)
任意整理していない借金を任意整理することで毎月の支払額を減らすことができます。
普段使っているクレジットカードや、車や住宅を担保にしている借金、保証人のいる借金など、任意整理をして減らせる借金があるなら追加介入をすることも可能です。
個人再生や自己破産を検討する
任意整理、再和解、追加介入などを行っても、返済状況が改善しない場合は、個人再生か自己破産を選択することになります。個人再生は最大10%まで減らした借金を3~5年間に分割して返済することができて、自己破産は借金を全て放棄して、借金を0にすることができます。
任意整理で失敗しないために費用以外で見るべきポイント
任意整理したほうがいいかを判断する
任意整理は今後支払うべき利息をカットして、さらに返済期間を延ばすことで毎月の返済額を減らすことができる手続きです。
しかし、借金の種類や金額、返済状況によっては任意整理しない方が良いケースもあります。
特に、任意整理をした後に返済が続けられなくなると、貸金業者から一括請求される可能性があります。
任意整理をして借金問題を解決できるかについては、債務整理に強い弁護士・司法書士に相談をするべきです。
債務整理に強い弁護士や司法書士に依頼
債務整理に強い弁護士や司法書士に依頼すると、失敗するリスクが最小限におさえられる可能性があります。
任意整理は貸金業者と直接交渉する手続きであり、貸金業者に和解条件を認められなければ、和解が成立しません。そのため、弁護士や司法書士は依頼者に有利な和解条件を貸金業者に提案する能力が求められます。
債務整理に強い弁護士・司法書士であれば、任意整理の経験が豊富にあるので、不利な和解条件を結ばれるリスクが低く、任意整理で失敗する可能性が低いでです。
また、債務整理に強い弁護士や司法書士に相談をすると、相談者の状況に合わせて最適な手続きを提案してくれるので、負担なく借金問題を解決できる可能性が非常に高いです。
費用についても分割払いや後払いに対応している事務所が多いので、まずは弁護士や司法書士に相談をするべきです。
任意整理の費用30万についてよくある質問
- 任意整理の費用30万円は高い?
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任意整理の費用相場は「1社につき5万円」ですが、弁護士事務所や司法書士事務所によっては設定されている費用が変わります。また、任意整理する借金の件数によってかかる費用総額が変わります。くわしくは「任意整理の費用が高いか安いかを判断するポイント」をご確認ください。
- 任意整理の費用を安くする方法は?
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任意整理の費用が安い事務所に依頼することで支払いの負担を軽くして任意整理することができますが
- 費用を分割払いできる事務所に依頼
- 費用を後払いできる事務所に依頼
- 任意整理する貸金業者を選ぶ
- 法テラスに相談
上記の方法でも費用を安くおさえることができます。くわしくは「任意整理の費用を安く抑える方法」をご確認ください。