任意整理する意味がない人の5つの特徴とその他の借金減額の手段
任意整理は利息をカットして元本だけを返済できるようにすることを目的とした手続きです。
借り入れした貸金業者の金利が低いときや、借り入れした元本が大きい人は借金の減額の効果は低いので任意整理をする意味がないです。
任意整理をするとブラックリストに入るだけでなく、1社あたり5万円~15万円の費用がかかります。有効なケースを知っていないと任意整理をしなければよかったと絶対に後悔します。
任意整理をして意味がないケースを知っておけば、別の債務整理を選択して今ある借金をなくせる可能性があります。
今抱えている借金をどうにかしたいと考えている人は任意整理をしても意味がないケースを知っておき、自分にあった適切な債務整理の方法を見つけるべきです。
任意整理の意味がないケース
任意整理することで、返済期間を長くして毎月の返済額を小さくすることができます。借金の返済で苦しんでいる方にとって、任意整理は意味のある手続きのひとつですが、返済状況によっては意味がなくなるケースがありますのでご紹介します。
金利の低い借金
任意整理で今後支払う利息をなくすことができますが、借金の元本自体を減らす手続きではありません。そのため、金利の低い借金を任意整理しても、減らせる利息が少ないので、借金の返済額があまり減らせない可能性があります。
また、任意整理専門家に依頼して手続きをすることが一般的ですが、それには費用がかかります。任意整理をする費用と今後支払う利息を比べて、費用が利息より少ない場合は任意整理をする意味がなくなります。
金利の低い借金を弁護士・司法書士に依頼して任意整理する場合
年利3.5%で100万円を借りて3年で返済する場合:利息の合計が10.5万円
弁護士費用の相場:10~20万円
→ 減らせる金額よりも費用が高くなる可能性あり
返済期間が長い借金
奨学金や住宅ローンのように返済期間が20年以上のような借金は、毎月の返済の負担がかかりすぎないように、一般的な借り入れよりも金利が低く設定されています。
任意整理は利息をカットして元金のみを返済すればよくなる手続きなので、返済期間が長くて金利の低い借金を任意整理してもほとんど借金を減らすことができません。さらに、本来は20年以上かけて返済するはずだった借金を、3年~5年で返済しないといけなくなるので、かえって返済が苦しくなってしまいます。
返済期間が長くて金利が低い借金は、意味がないというよりも任意整理しない方がいい借金といえるので、任意整理の対象から外すべきです。任意整理の対象からしても借金問題を解決できない場合には、個人再生や自己破産することを検討する必要があります。
任意整理に応じてくれない借金
借り入れ時の契約内容や返済状況によっては貸金業者が任意整理に応じない借金があります。
ほとんど返済していない借金
貸金業者から借り入れをしてから一度も返済していない、ほとんど返済できていない場合は、任意整理をしても返済できる見込みがないと判断されます。そのため、貸金業者に和解交渉をしたとしても、応じてくれないケースがほとんどです。
家や車を担保にしている借金
住宅ローンや自動車ローンのように、家や自動車などの財産を担保にしている借金を任意整理しても、貸金業者は担保に設定している財産を回収することができるため、任意整理に応じてくれないケースがほとんどです。
強制執行の準備をしている
任意整理をする前に、貸金業者が訴訟を起こして給料の差し押さえなどの強制執行をする準備が始まっている場合、任意整理に応じてくれません。
減額しても返済できない返済能力
任意整理は、貸金業者と交渉して、今後の支払い利息をなくし、返済期間を長くすることで、毎月の返済額を少なくすることができます。
ただ、収入が少なく、返済することができない場合や、収入が不安定な場合は、貸金業者に返済能力がないと判断されるため、任意整理はできません。
任意整理の意味がある場合の手続きの流れ
任意整理をする意味がある借金や経済状況の場合は、任意整理をすることで借金を減額して毎月の返済をラクにすることができます。
任意整理を弁護士や司法書士に依頼すると、およそ2か月〜4か月で貸金業者と和解することができます。任意整理の手続きをした後は、貸金業者と和解した契約に基づいて3年~5年かけて借金を返済することになります。
相談・依頼
債務整理を取り扱っている弁護士や司法書士に相談します。返済状況を説明して、任意整理で借金を返済できることが確認できたら、正式に依頼をします。
任意整理を依頼したら、弁護士・司法書士が貸金業者に受任通知を送付します。受任通知が貸金業者に届いたら返済の督促が止まりますが、依頼した即日に止まることもあれば、3日で止まることもあります。
弁護士・司法書士が各貸金業者から借りた金額や返済状況を知るために、「取引履歴」の開示を請求します。取引履歴には、いつ、いくら借りたのか、いつ、いくら返済したのかなどの借入状況や返済状況が記録された資料であり、開示請求をしてから1週間から1か月程度で取引履歴を入手することができます。
貸金業者から取引履歴を受け取れたら、過払い金がいくらあったかを計算します。過払いがあった場合は、貸金業者に対して過払い金請求を行います。
残りの借金の返済内容について貸金業者と直接交渉します。交渉した内容について和解ができた場合に和解契約を結びます。交渉から和解までには大体1か月~2か月かかります。
もし貸金業者との交渉で和解に至らなかった場合、裁判になる可能性があります。任意整理における裁判では、裁判上での和解によって解決します。裁判で和解するまでには半年程度の時間がかかることが多いです。
直接交渉で和解あるいは裁判で両者が和解した支払い条件に基づいて返済をしていきます。
任意整理の意味がない場合に借金を減らす方法
任意整理の意味がない借金を減らしたい場合、任意整理ではない他の債務整理手続きで借金問題を解決することができます。
例えば、個人再生や自己破産といった手段があり、これらの方法は任意整理よりも借金をより大きく減らすことができます。
借金を最大90%カットできる個人再生
個人再生とは、借り入れの返済に苦しんでいる人が手続きをすることで、今後発生する利息をなくし、元金を最大90%減らし、残りの借り入れを3年~5年の返済にする手段です。最終的には、残った分を3年~5年の間に完済することで、減らした分の返済する必要はありません。
ただし、個人再生をする際には、自宅や車などの財産を差し押さえられる可能性があります。また、クレジットカードが使えなくなり、官報に載ることもあります。
個人再生には「住宅ローン特則」という制度があり、これを利用すれば、自宅を残しながら借金を減額できます。また、ローンを完済している場合は車も残せる可能性があります。
個人再生をするとクレジットカードやローンの申し込みをすることができなくなりますが、手続きから5~10年経った後には申し込むことができるようになります。また、官報に載ったとしても、その内容を目にする機会が少ないため、一般の人に見つかる可能性が低いです。
もし返済が大変だと感じているのに、個人再生をしないままだと、遅延によって罰金が発生し、一度に全部返済するように求められ、財産を差し押さえられるなどの危険性があります。返済が辛い場合は、早めに弁護士や司法書士に相談するべきです。
借金をゼロにできる自己破産
自己破産とは、自分が抱える借金が返済することができない場合に、裁判所に申し立てて、借金を免除する手続きです。自己破産をすれば、借金を返済する義務がなくなります。
また、99万円以下の現金や生活に必要な財産は最低限の範囲で残しておくことができるので、手続きをすることで暮らしやお金に困ることはありません。ただし、自己破産をすることで、クレジットカードやローンなどの新規借入れができなくなります。
返済が苦しければ、いち早く生活を立て直すことが大切です。借り入れを増やしてその場しのぎの生活を変えるためにも、自己破産をご検討ください。
任意整理の意味がないことについてよくある質問
- 任意整理って意味はあるの?
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任意整理をすることによって、今後の返済にかかる利息が軽減され、返済額を減らすことが可能です。また、返済期間を3年から5年に延長することで、毎月の負担額を軽減することもできます。
しかし、任意整理をしても意味がないケースもあるので「任意整理の意味がないケース」を参照してください。
- 任意整理が意味ないときはどうする?
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任意整理の意味がない借金を減らすには、他の債務整理手続きで借金問題が解決できる可能性があります。
個人再生や自己破産といった方法なら任意整理よりも借金を大幅に減らすことができるかもしれないので「任意整理の意味がない場合に借金を減らす方法」をご確認ください。